3PL(スリーピーエル・サードパーティー ロジスティクス)とは?その意味や機能について詳しく解説
物流業界に属している方なら一度は耳にしたことがあるであろう言葉、「3PL(スリーピーエル・サードパーティー ロジスティクス)」 ですが、一般にはあまり馴染みのない用語なので、「『3PL』とは何ぞや?」と思われるかも知れません。
今回の記事では、そもそも3PLとは何か、そして3PLの詳しい意味や機能、導入のメリットについて詳しく見ていきたいと思います。
CONTENTS
・そもそも3PLとは?
・3PLを導入するメリットとデメリット
・3PL事業者の選定ポイントは?
・3PL(スリーピーエル・サードパーティー ロジスティクス)についてのまとめ
■そもそも3PL(サードパーティー ロジスティクイス)とは?
3PLとは、「サードパーティー ロジスティクス(Third Party Logistics)」の頭文字をとった略語でで、荷主企業に効率的な物流戦略を提案した上で、包括的に物流業務を受託し実行することを指します。
3PLは包括的な物流業務を行うので、倉庫での在庫管理や輸送などの業務だけでなく商品の受発注から入庫、ピッキング、配送など「物流に関わる全ての業務」が対象となります。
3PL以外の物流形態として、1PL(ファーストパーティーロジスティクス)、2PL(セカンドパーティー ロジスティクス)があります。1PLは荷主企業自身で物流機能を実行する物流形態、2PLは一部の物流業務を委託する物流形態があり、3PLは1990年代後半以降に広がった、新しい物流サービスの形態となります。
わかりやすくまとめると
・1PL(ファーストパーティーロジスティクス)…企業が自身ですべてのロジスティクス活動を行う
・2PL(セカンドパーティーロジスティクス)…物流業者へ一部を委託する
・3PL(サードパーティーロジスティクス)…物流コンサルを含めたすべてのロジスティック活動を物流業社へ委託する
となります。
物流業務を行うためには、荷物を輸送するトラックなどの車両やドライバーをはじめ、荷物を保管する倉庫のほか、物流を管理する高度なシステムが必要になります。もしこれら全てを自社で用意・維持する場合、膨大なコストと手間がかかり、企業経営の負担にもなりかねません。
そのような問題を解決すべく、現在の物流業界で広く浸透しているのが「3PL(スリーピーエル 、サードパーティーロジスティクス)」です。
3PLが普及した背景については諸説ありますが、1990年頃に欧米で広がりはじめたと言われており、日本では1990年代後半に大きな注目を集めるようになりました。
それまでは自社で物流業務を実行する、いわゆる「1PL」を行う企業も少なくありませんでしたが、倉庫の確保やトラックの管理、人員の確保などの膨大なコストがかかるため、企業にとっては大きな負担となっていました。さらに物流以外の業務もある企業は、物流業務の効率化や簡略化を図ることが大きな課題となっていました。
そのような状況の中「物流業務を第三者に委託する」という選択肢が注目されるようになり、3PLが普及することとなりました。
3PLの普及による物流の効率化がCO2の削減効果や地域雇用創出の観点から、3PL人材育成推進事業の実施や物流拠点施設に対する税制特例等による支援を行うなど、国土交通省は3PL事業を総合的に推進しています。
3PL(サードパーティーロジスティクス)とは荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行いさらにそれを包括的に受託し、実行することをいいます。荷主でもない、単なる運送事業者でもない、第三者として、アウトソーシング化の流れの中で物流部門を代行し、高度の物流サービスを提供しております。
国土交通省では、新たな物流サービスである3PL(サードパーティロジスティクス)の普及による物流効率化が地球温暖化問題への対応(CO2排出量の削減)、地域雇用の創出等の効果にかんがみ、3PL(サードパーティロジスティクス)人材育成推進事業の実施、ガイドライン等の策定、物流効率化法や物流拠点施設に対する税制特例等による支援により、3PL(サードパーティロジスティクス)事業を総合的に推進しているところです。
■3PLを導入するメリットとデメリット
繰り返しになりますが、3PLとは「荷主の物流業務を荷主や運輸会社以外の第三者が包括的に受託するサービス」です。
3PLには、主に2つのメリットがあります。
●3PLのメリット
・固定費を変動費にできる
3PLにすることで、倉庫やトラック、人や物流システムといった固定資産を所有する必要がなくなり、必ずかかってくる固定費を変動費に替えることができます。
また3PL事業者の改善施策によって、保管費、荷役費、運送費といった物流コストの削減も可能です。
・コアビジネスへ集中できる
今までロジスティクスに割いていた人材や資金などの経営資源をコアビジネスへと投入することができます。物流業務のための人材を確保する必要がなくなり、専門人材の育成が不要となります。
また、業務範囲が小さくなるためマネジメントの負担が減り、減った分の時間を別の業務へと充てることができます。
・常に最新の物流モデルを享受できる
物流2024問題などいろいろな課題を抱えている物流問題に頭を悩ませているご担当者様も多いのではないでしょうか?
3PL(サードパーティ―ロジスティクス)を導入することでこの課題に対する専門チームを自社で抱えることなく常に新しい情報を受け取ること可能となります。
一方で、3PLのデメリットはどのようなものがあるのでしょうか?
●3PLのデメリット
・パートナー企業の固定化による弊害
3PL事業者は一般の物流倉庫と同じように、対応できる業務の得意・不得意があります。例えば海外での拠点の設置やサポート、サプライチェーンのネットワークの構築など、自社の課題を解決できるノウハウを持った会社に委託することが重要です。
しかしながら3PL導入により逆にパートナー企業が固定化されてしまうケースもあり、パートナー企業が不得意な領域を含め、他の物流会社への発注が難しくなる可能性があります。
・物流を担う人材の空洞化が起こる
ロジスティクスに関する業務を外部に委託するため自社内にノウハウが蓄積されず、ロジスティクスを担う人材を社内で育成することが困難になります。仮に3PLを行う企業が倒産した場合などにはこのリスクが発生します。
■3PL事業者の選定ポイントは?
ここまで3PLのメリットとデメリットの両方を書いてきましたが、実際導入する場合どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
3PL事業者の選定は、自社が委託範囲や目的について明確なビジョンを描いたうえで選定しなければコストカットや業務改善が実現しないため注意が必要です。
具体的な3PL選定のポイントは以下の5つを意識してみてください。
・料金よりサービスの品質を重視する
3PL事業者の選定にあたり、荷主は目先の料金などを重視しがちですが、ロジスティクスは一過性ではなく長期的に運用するものであるので良質なサービスを安定して提供することができる事業者を選ぶとよいでしょう。
・リスクの回避能力やコンサルティング能力の高さを判断する
3PL事業者選定では、ロジスティクス活動をしていく中で起きる事故などのリスクを回避する能力や、継続的な業務改善案を提供してくれるコンサルティング能力の高い事業者を選ぶとよいでしょう。
余談ですが、近年「4PL(フォースパーソンロジスティクス)」と呼ばれる、「従来の3PLシステムにコンサル機能を付加したサービス」が生まれています。米国で提唱された新しい概念として国内でも導入が進んでおり、今後さらに普及していくと考えられています。
・ICTの活用度に優れているか検討する
現在・将来を通じてICTはロジスティクスの品質の維持や向上に不可欠であるため、ICTが配車計画や在庫管理など現場のオペレーションに活用されている3PL事業者かを事前に知っておく必要があります。
・アセット型とノンアセット型のチョイスが適切に出来ているか調べる
3PL事業者には自社で倉庫や輸送手段・物流拠点などを所有している「アセット型」と、自社では所有せず、荷主のニーズに応じて提携する物流・倉庫業者をアテンドする「ノンアセット型」が存在します。アセット型は需要が変わった時などの対応力などに強く、ノンアセット型は自社のアセットにとらわれることなく、荷主の要望に柔軟に対応することが出来ます。
国内の3PL事業者はアセット型が主流ですが、店舗や倉庫を持たないケースが多いEC事業者のような配送先が不特定多数である場合はノンアセット型が適している場合もあります。
・3PL事業者の現場力があるか判断する
大手3PL事業者の場合、サプライチェーンの最後の配送(ラストワンマイル)を子請けや孫請けの業者が請け負っていることも多くなります。そのため3PL事業者だけの規模や実績以外にも、子請け・孫請け業者の現場力も調べる必要があります。
またノンアセット型の場合は完全に外注になるため、提携先の確認は必須であると言えます。
■3PL(スリーピーエル・サードパーティー ロジスティクス)についてのまとめ
数多くのメリットを企業へもたらす3PL。導入する企業も増えていっています。大手企業も参入し、さらに発展していくことが予想されます。
実際コンサル機能を追加した「4PL」も生まれていて、今後はAI・自動運転といった「フィフス・パーティー」が関与する「5PL」へと進化していくことも考えられます。ですが、どれほど優れたロジスティクスが出てきてもサプライチェーンを維持・発展させるためにはどうしてもマンパワーが必要になります。
事業主や担当者は、どの3PL事業者のどのサービスが自社の業務効率化や労働環境改善に役立つのかを見極め、慎重に導入事業者を選定することが課題となります。
上記に挙げてきた3PL(サードパーティーロジスティクス)ですが、やはり大手物流倉庫になると柔軟性と流動性において動きにくくなることもあります。
昨今の状況を鑑みた中コンプライアンスの遵守はもちろんですが、少量や短期~中期のケースに
なると大手物流倉庫ではなかなか契約が難しいこともあります。
そこで中小物流倉庫という選択肢も検討していただければと考えています。
例えば株式会社神谷商店では先に挙げた少量・短期~中期のお荷物もお受けさせていただいておりますし、荷扱いの難しい物に関しては弊社を含めた中小物流倉庫のほうが得意なこともあります。
そのため、価格、品質、効率を含め御社にあった物流倉庫を選択していただくことが必要と考えられます。
もし困りごとがある、内容がわからない等があればお気軽に株式会社神谷商店までお問合せください。(相談無料、提案無料)
お客様のニーズにそったご提案を株式会社神谷商店からご提供させていただきます。